Mirai Career Labo

未来志向のキャリアデザイン

事務職について考える

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 コロナ禍で勤め先の役所の予算削減のあおりを受け、今年度で首になることが決定しました。2か月前くらいから耳に入ってくる周りの声等により、そうなるかな~とは思っていましたのでそれほどショックもなく、「次はどうしようかな・・」と日々考えています。

 

 前々から「事務職」についてモヤモヤと考えることがあり、ここで書いてみたいと思います。

 例えば、今の仕事。研修の事務局業務です。「事務」の一種だと思いますが、業務はこんな感じです。

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 企画立案された研修の年間スケジュールに基づいて、まず「起案」します。

 「起案」するには、起案書(Word)を作成します。この時、前年度の書式に基づいて起案書を作成しますが、その時の状況や前年度の反省点をよく考えた上で、内容を変更します。例えば、今年はコロナ感染防止の為、1回の研修参加者人数を減らして、開催回数を増やすなど、例年と異なる対応をしなければなりません。起案書には、研修の概要を示した文書(主にPPT)や、職層研修ならば対象となる人たちの名簿(主にExcel)なども添付します。そして作成した起案書は電子承認を受けるので、そのソフトに入力し、処理をします。

 研修開催が決定すると、会場の予約、参加者の募集や出欠の確認、講師への講義依頼、資料の取りまとめ、印刷手配、出席者への参加決定通知書の作成・送付、変更・欠席などの受付・取りまとめ、当日の名簿・座席表(受講生への配布用座席表、講師側から見た座席表、主にExcel)、アンケート用紙(主にWord)、出席簿(専用ソフト)の作成などの業務を行います。

 これらの、文書を作成する・メールで連絡する・特定のソフトを使用する等、ほとんどの仕事がPCを使用します。勿論問い合わせの電話は毎日沢山かかってきます。メールよりも電話の方が早く済みそうなものはもちろん電話をしますし、直接会って話す場合もありますが、とにかく1日のほとんどはPCの前に座って仕事をしています。

 研修事務で、他の事務と異なるのは、実際の研修時には、会場設営・準備・受付業務、司会、開催中に控える事務局業務、片付け、講師や受講生への個別対応などの、PC以外の仕事が入る、という点です。

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 以前勤めていた大企業の中では、庶務と呼ばれるどの部署にも共通する事務作業や所属部署員のサポート業務の他、貿易事務やプロジェクトのアドミ業務、危機管理や防災などについての社内啓蒙に関わる業務等、さまざまな仕事に関わりましたが、一般にはそれらはすべて「事務」という名前で呼ばれます。 自分はこれまでいろいろな業務をやってきたけど、結局は「一般事務」あるいは英語を使用していたので「英文事務」と呼ばれる業務をやっていたということになります。

 採用面接を受けると、結局あなたはPCはある程度できるんですね、英語も多少はできるんですね、電話も大丈夫ですね、という点あたりを拾い上げられて、「事務職ならなんとかなるんですね」となるわけです。そして、一般企業で事務職には大抵昇進はありませんから、「管理職の経験」は無い、つまり「人を使ったことはない」んですね、と言われます。

 その点、公務員は事情が違います。役所の仕事は文書至上主義ですから、文書を作成する能力が大きく問われます。現業以外の役所の仕事は基本的には事務が多いですから、事務職でも当然昇進します。

 PCが使える能力も、電話をする能力も、人とのコミュニケーション能力も求められる事務職は、本当は経験を積むほど身に着くものがありますから、それを認められて昇進していき、管理職という立場も得ることができて良いのではないかと思います。だけどこれまで主に女性が担うことの多かった事務職は、会社の本業のサポートでしかないという考えが根強く、切り捨て可能なあまり重要でない仕事と見なされる傾向があります。でも本当は、こまかい入力作業、文書作成作業を苦手とするビジネスマンが、コツコツと仕事をする事務職の人におおいに助けられている、ということは多いのではないでしょうか。 

 事務職は交換が簡単、PC能力が高ければ良い、将来はロボットに取って代わられるなどと考えられがちですが、本当にそうでしょうか?

 今の世の中、事務職はどんな仕事をする上にも欠かせません。必ず必要なのです。でもそれは全部同じなのではなく、それぞれの会社でいろいろ違っています。それに合わせること、そして人とのコミュニケーションもかなり必要なことを考えると、そう簡単にロボットに変われるとは思えないでいます。

 また、事務職は座っているから楽、と考えられがちです。でも1日中PC作業をするのは肩は凝るし、目をチカチカするし、頭も疲れます。また他の人のサポートはいろいろ気を使い、ストレスがたまりやすいんです。そういった意味でも結構大変な「事務職」ですが、もっともっと世の中で評価されてもいいのではないか、と私は思っています。